医師コラム
二重の幅について
今おじいちゃん先生が、若くてバリバリ手術をやっていた頃は、二重のラインが眼窩のくぼみに一致した、ものすごい幅広の二重が流行りました。私の想像ですが、おじいちゃん先生達は当時、西洋風の美形、つまりハリウッド女優に憧れていたので、患者様にも勧められたのではないかと思います。
しかし、彫りの深い西洋系のまぶたと、彫りが浅く腫れぼったいアジア系のまぶたには大きな壁があり、同じものを求めても似合うはずもなく・・・
数年前から、あゆになりたい女性が急増し、平行型の幅広二重が定着してきました。また、ギャル系ファッション雑誌アゲハのモデルさんの影響で、ど派手なアイメイクも流行りました。アイメイクがうまくなり、派手になるほど、二重の幅は広くしないと物足りなくなってしまいます。
最近の10代後半から20代前半の女性の好む二重は、幅広の平行型。かつて、おじいちゃん先生が作ったほどではないですが、かなり近づいて来ています。
お化粧映えする幅広の二重は、いいことばかりではありません。幅広二重は、お化粧していると、大きな目になり気に入っていても、すっぴんになるとぼやけてしまいます。え、別人!とびっくりするほど、目の印象が変わり、腫れぼったく、小さく、老けた印象になります。なので、すっぴんで人前に出られなくなってしまいます。
アイメイクをしっかりして写真を撮る・人前に出るような職業の方には、幅広の二重を勧めますが、普段アイメイクをあまりしないという方は、アイメイクなしで外出できなくなる恐怖から逃れるためには、二重の幅は広すぎない方がいいですよ。
数年前から、中国の女性の手術をする機会が増えました。日本の若い女性のように広い二重を希望するかと思いきや、意外に奥二重程度の二重を希望されます。また、広くした二重を狭くしたいと修正手術を受けに来られる方が多いのに驚きました。
中国の女性は、日本の女性よりも、アイメイクをしっかりしないため、幅広の二重を希望しないのだと理解しました。しかし、美容分野(化粧品、ヘアなど)の中国進出も盛んになっていますから、数年後には、中国でもアゲハのモデルさんのような女性が増えているのではないでしょうか。二重の幅の希望もそれと並行して増えてくるのではないかと予想しています。